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賃金制度と働き方の変化|メンバーシップ型からジョブ型への転換をどう考えるか

賃金制度と働き方の変化、その関係性と実態を考察する|「やさしい経済学」から学ぶシリーズー3

日経の経済教室ページの小論欄【やさしい経済学】。
「やさしい経済学」から学ぶシリーズと題して、以下のように、興味関心を持ったテーマを取り上げています。
⇒  「持続可能な社会保障」とは何か|インデクセーションが示す制度延命の現実 – ONOLOGUE2050
⇒ 求められる少子化対策とは何か|政策効果の限界と結婚行動という本質 – ONOLOGUE2050

今回は、2025年12月19日から同12月30日までの8回シリーズ、禿あや美埼玉大学准教授による「賃金制度と働き方の変化」というテーマを取り上げます。
当記事のURLは、記事末に添付しました。(但し、有料会員だけがアクセスできます。ご了承ください。)

まず、これまで同様、ChatGPTとGeminiに、8小論の要約と全体総括を依頼しました。
要約は、ChatGPTのものだけです。

日本の賃金制度は、人事制度と不可分の仕組みとして、長期雇用を前提に「能力」を基準に賃金を決め、年功的に上昇させる形で発展してきた。
これは労働者の生活を安定的に保障し、配置転換を通じた人材育成を可能にした点で大きな役割を果たした。
一方で、強い企業主導の配置転換、転勤、長時間労働を正当化し、ジェンダー不平等を内包する制度でもあった。
人口減少社会において、この拘束性の強い制度がなお妥当なのかが問われている。

年功賃金は人的資本論や生活費保障仮説によって説明されてきたが、若者の低賃金が当然とされる前提は崩れつつある。
職務評価調査によれば、若手正社員やパート・アルバイトの賃金は職務内容に見合っていない場合が多い。
転職が一般化した現代では、「将来報われる」という説明は説得力を失っている。
最低賃金の議論も含め、家族内での役割分担を前提とした賃金観からの転換が必要だと論じる。

ジョブ型雇用では、職務評価に基づいて職務の価値を測定し、職務記述書によって責任や要件を明確化する。
これにより賃金と職務の対応関係が可視化され、企業の一方的な配置転換には歯止めがかかる。
ジョブ型は「ジョブがなくなれば即解雇」という単純な制度ではなく、個別合意を基盤とする雇用形態であり、労働者のキャリア自律を可能にする前提条件としての「透明性」を提供する。

管理職の仕事量増大や敬遠傾向の背景には、メンバーシップ型雇用の下で職務が不明確なまま管理職に登用される仕組みがある。
長時間働けることが事実上の選抜基準となり、女性の昇進を妨げてきた。
ジョブ型では、専門性と職務価値に基づく昇進が前提となり、年功的な賃金上昇は期待できない。
職務価値と賃金の均衡、特に労働時間管理との整合性が不可欠である。

短時間正社員の普及は、職務と賃金が1時間単位で対応するジョブ型雇用と相性が良い。
日本では短時間正社員が育児期の女性に限定されがちだが、ドイツでは管理職を含め広く普及している。
背景には「時間主権」や「人生時間設計」という考え方があり、法制度がそれを後押ししている。
職務の明確化と残業を前提としない労働時間管理が、柔軟な正社員制度の鍵となる。

日本企業では転勤範囲や労働時間を基準に雇用区分が設けられ、それが賃金格差につながってきた。
しかし人手不足を背景に、転勤を原則廃止したり正社員区分を一本化したりする動きが広がっている。
ジョブ型雇用が進めば、職務基準で賃金を決められるため、転勤や労働時間を処遇区分の軸とする必要性は低下する。雇用管理区分の再設計が問われている。

女性の離職率は近年低下しており、第1子出産後も正社員として働き続ける割合は大きく上昇している。
一方で、転勤は男女を問わず離職要因となっている。
日本では学習意欲が低いことも課題だが、その背景には企業主導の配置転換によって、個人のキャリア設計が実現しにくい制度がある。
ジョブ型への移行は、主体的な学習とキャリア形成を促す可能性を持つ。

ジョブ型雇用は正社員に限らず、非正社員にも適用可能である。
働き方改革関連法や同一労働同一賃金政策の下で、企業は雇用形態を超えた人事制度の再構築を迫られている。
職務分析・職務評価は、処遇の合理性を検証する有効な手法であり、非正社員の低賃金問題を可視化する。
ジョブ型の導入が進めば、公正で多様な働き方が現実味を帯びると締めくくられる。

本シリーズは、日本の賃金制度と働き方を「生活保障」「職務」「時間」「転勤」という軸で丁寧に解きほぐし、メンバーシップ型雇用の限界とジョブ型雇用の可能性を一貫して論じている。
単なる制度輸入論ではなく、賃金・労働時間・キャリア形成・ジェンダー平等を結びつけた点が特徴である。
人口減少と人手不足が進む中で、企業と労働者の関係を「包括的支配」から「個別合意」へ転換する必要性を、理論と実証の両面から示した連載といえる。

日本型雇用の特徴であった「能力基盤・年功賃金・無限定な拘束」は、もはや労働者の生活実態や人手不足という現実に適応できなくなっています。
これに対し、「職務(ジョブ)」を軸に据えることで、賃金と働き方の透明性を高め、労働時間や勤務地の制約に左右されない公正な処遇体系を構築することが、今後の人事制度再構築の柱であると主張しています。

こちらも、ChatGPT、Gmeini両方を掲載しました。

本シリーズは、日本の賃金制度と働き方をめぐる議論を、
人事制度・雇用慣行・法制度・労働者の生活実態という複数の視点から、極めて整理された形で提示した点に大きな意義がある。

本小論の最大の特徴は、賃金制度を単なる報酬配分の仕組みとしてではなく、
労働者の生活をどのように支え、どのような働き方を前提としてきた制度なのか
という視点から捉え直している点にある。
メンバーシップ型雇用における年功的賃金制度を、
・長期雇用
・配置転換や転勤を前提とした働き方
・世帯主モデルに依拠した生活保障
と結びつけて説明した整理は、日本型雇用の制度的特徴を理解するうえで非常に分かりやすい。
同時に、その制度が
・少子高齢化
・人口減少
・ジェンダー不平等
・働き方の多様化
といった社会変化のもとで限界に直面していることも、論理的に示されている。

若者の低賃金や管理職志向の低下といった現象を、
個人の意識や価値観の変化に還元するのではなく、
賃金制度・職務の不明確さ・評価の構造という制度的要因から説明している点も評価できる。
特に、
・若年層の賃金が職務内容に見合っていない可能性
・管理職が専門性ではなく「長時間労働耐性」で選別されてきた構造
を指摘した部分は、近年の人事制度改革を考えるうえで重要な論点を含んでいる。
これらの問題を、単なる「働き方改革」や「意識改革」の話に矮小化せず、
制度設計の帰結として位置づけている点が、本小論の学術的な強みである。

ジョブ型雇用についても、本シリーズは慎重かつバランスの取れた議論を展開している。
しばしば語られがちな
「ジョブ型=解雇しやすい制度」
という単純な理解を退け、
・職務内容の明確化
・責任範囲の可視化
・労働者との個別合意
を基盤とする制度として位置づけた点は、読者の理解を深める。
また、ジョブ型が
・キャリア自律
・短時間正社員
・管理職の働き方の再設計
と結びつく可能性を示した点も、制度論として一貫性がある。

最終回で示された
・正社員・非正社員を含む人事制度全体の再構築
・同一労働同一賃金政策との関係
・職務評価の重要性
といった論点は、本シリーズを単なる雇用形態論に終わらせず、制度全体の再設計というレベルまで引き上げている
研究者自身の職務評価調査の知見を踏まえつつも、
特定の制度モデルを一方的に推奨するのではなく、
読者に「制度をどう設計すべきか」を考えさせる余地を残している点も、本欄の趣旨に合致している。

本小論シリーズは、
日本の賃金制度と働き方をめぐる問題を、
感情論や単純な是非論に流れることなく、制度の構造として丁寧に解きほぐした連載である。
とりわけ、
・メンバーシップ型雇用の歴史的役割
・その限界が顕在化している理由
・ジョブ型雇用が提供する可能性と課題
を、労働者の生活やキャリア形成と結びつけて論じた点は高く評価できる。

本シリーズの最大の価値は、日本特有の「メンバーシップ型雇用」が、単なる賃金体系の違いにとどまらず、いかにして現代の「働き方の制約」や「ジェンダー不平等」を生み出す構造的要因となっているかを論理的に解明した点にあります。
特に、長期間の雇用保障と引き換えに企業に認められてきた「強い指揮命令権(無限定な転勤や長時間労働)」が、もはや現代の労働者の生活実態(育児・介護、キャリア自律への欲求)と深刻な摩擦を起こしていることを鋭く指摘しています。

一般的に「解雇のしやすさ」や「成果主義」と結びつけられがちなジョブ型雇用を、本論では「職務の透明性を高めるためのインフラ」として捉え直している点が秀逸です。
職務記述書(JD)によって責任と要件を明確化することが、単なる評価の道具ではなく、労働者が主体的にキャリアを形成し、企業と対等に合意形成を行うための「守り」の武器にもなり得ることを示唆しています。

ドイツの事例を挙げた第5回のように、ジョブ型と短時間勤務が「相性が良い」という分析は、日本の労働政策において非常に重要な視点です。
職務を「人」から切り離して「タスクや役割」として定義することで、管理職であっても短時間で働くことが可能になるという主張は、日本で膠着状態にある「多様な正社員」の普及に対し、制度設計の面から具体的な処方箋を提示しています。

最終回で語られた、正社員と非正社員を同一の尺度(職務評価)で測定すべきという提言は、日本の賃金格差問題に一石を投じています。
「能力」という曖昧な基準ではなく、「職務の価値」という客観的な指標を用いることで、非正社員の不当な低賃金を是正し、実効性のある「同一労働同一賃金」を実現しようとする姿勢は、学術的妥当性と社会的な正義を両立させています。

本小論シリーズは、従来の「日本型雇用」が抱える制度的疲労を、単なる批判に終わらせず、「職務基軸」への転換という具体的な方向性を持って再構築しようとする、極めて完成度の高い論考です。
賃金制度の変更が、単なる計算式の変更ではなく、「個人の働き方と人生の自律を取り戻すための社会変革」であるという一貫した哲学が感じられます。

実は、私は、メンバーシップ型の職能資格制度の設計と運用、そしてその改革としてのジョブ型職務資格制度の設計と運用というコンサルティング経験を持っています。
どちらも、企業の成長やマネジメントの事情や段階に応じての取り組みであり、どちらも有意義になものであったと考えています。
その経験を基にして、今回の小論の視点と擦り合わせて、感じたことをいくつか挙げておきましょう。

ジョブ型制度を語るとき、避けて通れないのが人材流動化の問題です。
職務記述書が整備され、職務価値に応じた処遇が提示されると、労働者は自分の市場価値を比較しやすくなります。
これは、キャリア自律を促す一方で、企業側にとっては「引き留め競争」が常態化することも意味します。

メンバーシップ型の職能資格制度が、長期雇用・内部育成を前提に「組織内の期待値」を賃金に反映させてきたのに対し、ジョブ型は職務単位での合意を基礎にしやすく、結果として「雇用の継続性」より「職務の継続性」に重心が移ります。
これが、制度導入を推進する側にとっても、現場で不安として表出しやすい点です。

したがって、ジョブ型の導入は「制度の透明化」だけでは不十分で、企業が
・どの職務を内部育成で維持するのか
・どの職務は外部市場と連動させるのか
・退職・異動が生じても中核業務をどう維持するのか
という“人材ポートフォリオ”の設計を同時に持たなければ、制度が不安定化しやすい。制度改革の論点は、人材流動化を前提とした経営の作法へ接続するところにあるといえます。

もう一つの人材流動化問題は、社内の人材流動化という視点です。
果たして、ジョブ型人事制度は、社内の人材の流動化、換言すれば、人事異動・人事管理の方針・方向性に合っているかどうか。
ある面では、人事・人材の固定化に繋がる性質があると言えるのです。
むしろ、メンバーシップ型の方が、人材の流動化を促す機能・役割をもつ。
その両面から、賃金制度及び人事制度を考えても良いのでは思っています。

ジョブ型制度では、職務記述書によって「何を期待するか」を明確化しやすい反面、評価の重心が「実績」「成果」「職務遂行能力」へ移りやすくなります。
ここで必ず問われるのが、評価者の資質です。

メンバーシップ型では、評価が“潜在能力”や“将来期待”を含み、部署内での相対比較や、長期的な育成の視点で調整されてきました。
しかしジョブ型では、職務要件と成果の対応関係を説明できなければ、透明性は逆に「不満の可視化」につながりやすい。
評価の根拠が示せない制度は、むしろ納得感を失います。

つまりジョブ型は、制度の問題であると同時に、評価者に
・目標設定の技術
・期待水準の言語化
・フィードバックと対話
・評価のブレを抑える校正(キャリブレーション)
を求めます。
制度改革は「評価者育成」と表裏一体であり、評価者が育たなければ、ジョブ型は“書類だけ整った制度”になり、現場の不信を強めかねません。

但し、それは、メンバーシップ型制度でも共通の課題であることは、言うまでもないと思います。

ジョブ型が進むほど、賃金は「職務価値」と「労働時間」の関係で説明されやすくなります。
第4回で論じられた「管理職罰ゲーム化」や残業問題とも直結しますが、職務給を整合的に運用するには、賃金の基礎が“時間当たり価値”へ分解されざるを得ない局面が出てきます。

メンバーシップ型では、職務が変わっても賃金が急に変動しないため、時間外労働が暗黙に内包されやすかった。
また、定期昇給の考え方を内包する制度という側面があったことも、社員にとって安心感があったと言えます。
しかしジョブ型では、職務・責任・期待成果が特定される分、労働時間が膨張すると「職務給の前提」が崩れます。
管理職と一般社員の逆転現象、あるいは職務価値の歪みが生じ、制度の整合性が壊れます。
視点を変えると「同一労働同一賃金」を具現化するものであり、定昇はなく、賃金の固定化に繋がる制度の側面があるのです。

だからこそ、ジョブ型の議論は、賃金制度だけでなく
・業務設計(仕事量の配分)
・権限設計(判断範囲と責任)
・労働時間管理(残業を前提にしない運用)
と一体で設計されなければなりません。
ジョブ型の本質は、賃金体系の変更というより、仕事の“設計思想”の変更に近いのです。

ジョブ型かメンバーシップ型か、という議論はしばしば二者択一のように語られます。
しかし実務的には、多くの企業で“混合型”が最適解になります。

例えば、職務が明確で成果指標も比較的設計しやすい領域(専門職、プロジェクト型業務、一定の定型業務など)では、ジョブ型の効果が出やすいですね。
一方で、職務境界が流動的で、部門間調整や多能工性が価値になる領域では、メンバーシップ型的な育成と配置の柔軟性が有効に働く場面もあります。

企業規模によっても違いが出ます。
人材の層が厚く、異動・育成の回転が効く企業は内部労働市場を作りやすい。
逆に小規模な企業では、職務が重なり合うため、職務の切り分け自体が現実に合わないこともある。
結局のところ、制度選択のポイントは「理念」ではなく、業務構造と人材構造との適合性にあります。

制度は“仕組み”ですが、運用は“人”です。
ジョブ型であれメンバーシップ型であれ、最終的に制度の善し悪しを決めるのは、管理職・経営職のマネジメント能力です。

特にジョブ型では、管理職に求められる役割が明確になります。
・職務の定義
・目標の設計
・成果の判断
・人材育成(次の職務へどう上げるか)
・公平性の担保
これらを高い水準で行う必要がある。

ここで興味深いのは、AIの代行可能性です。
評価の“補助”として、目標設定のテンプレート化、成果指標の比較、対話記録の整理、評価コメントの品質チェックなどはAIが支援できる領域です。
しかし、最終判断、つまり「何を会社として価値とみなすか」「例外をどう扱うか」「本人の成長をどう支えるか」といった部分は、依然として人間の責任領域に残りやすいですね。
AIは管理職を置き換えるというより、管理職の未熟さを可視化し、成熟を促す“鏡”になる可能性がある、と見る方が現実的でしょう。

最後に、制度改革が必ず突き当たるのは「統合」の問題です。
正社員・短時間正社員・有期契約・パート・派遣・業務委託など、多様な雇用形態が混在する現場で、処遇・評価・育成・配置をどう整合させるか。
ここは制度論の最難所です。

ジョブ型が職務と賃金の対応関係を明確にするなら、雇用形態の違いも「職務の違い」「責任の違い」「働く時間の違い」として説明できる可能性があります。
ただし、現場では職務の切り分けが曖昧なまま運用されていることも多く、制度が先に立ちすぎると、かえって混乱が生まれます。

そのため、統合化の実務では
・職務の棚卸し(何が本当に必要な仕事か)
・境界の設計(誰がどこまで責任を持つか)
・育成ルートの設計(雇用形態を越えた移行も含むか)
・処遇の説明可能性(納得できる理由の提示)
といった地道な設計と対話が不可欠になります。

制度改革は、「新制度の採用」ではなく、現場の業務と人材の組み立て直しです。
ジョブ型はそのための有力な道具になり得ますが、道具を使いこなすには、現場での調整と運用の熟度が問われるのです。

ここで実務経験を通じての実際の制度設計内容を公開することは、守秘義務上できません。
しかし、少し強く記憶に残っている点を簡単にメモ書きしておきたいと思います。

・賃金は、VAP=バリューポイント制とし、VAP=賃金額に:
VAP制として、賃金テーブルと職務記述書を連動

・管理職は、管理の専門職と定義:
すべての職種を専門職もしくは専任職とし、管理職も管理の専門職と位置付けて運用

・膨大な職務記述書。年度方針毎に見直し・確認が原則。年度方針管理を同制度のマネジメントツール・システム化:
制度導入時には、膨大な作業量を必要とした「職務記述書」作り。
経営年度が改まるごとに、担当職務の見直しと確認が原則。
そこで、職務給の更改が原則、行われる。
その際の前年の評価は、個人別の「年度方針管理書」を人事考課表として用いる。「組織別方針管理」を受けて作成。
管理職と本人が、1年に最低2回は面談し、確認と評価。

・(一番困ったこと)多能工と単一工、どちらが給料高いか
同じ時間働くとしたとき、いろいろな技能を持って、多能工としての仕事を担当する場合と、一つの技能を深く身につけ、だれもできない名人芸の領域の仕事をする場合。
どちらを賃金が高い職務とするか? どちらもそれぞれの職場に欠かせない仕事。前者はこれからの企業・職場としてめざす。
しかし、後者は、他企業との競争には不可欠。迷いますね。迷いました、みんなが。

・要は、コミュニケーション・システムと文化・風土創り
制度は一人歩きしてくれません。
活字化したものが絶対とも言えません。
OJTならぬ、OJC(オン・ザ・ジョブ・コミュニケーション)主義を掲げて、制度の創造・維持・運用を推進。
その目的も兼ねて、並行して、マネジャー研修、マネジャー候補者研修を毎年実施し、管理職という専門職の養成に社を上げて取り組みました。

以上、ポイントを挙げました。
先述した6項目のまとめの一部にもなるかと思います。

本小論では、ジョブ型雇用における「職務の明確化」や「職務に基づく賃金決定」の重要性が繰り返し強調されています。
では、実際に「職務記述書」や「職務給」は、どのような形で示されているか。

民間企業では、職務記述書や賃金レンジは内部資料として扱われることが多く、外部から全体像を確認することは難しいです。
一方、公的部門や一部の国では、職務内容と賃金水準が公開されており、ジョブ型雇用の具体像を知る手がかりにはなります。

という前提で、ここは、ChatGPTの手?を借りて、以下の3つの職種を挙げて、情報収集と提供を要請。
その回答結果を紹介します。

たとえば海外の公的研究機関や行政機関では、研究職・専門職について
・担当する職務内容
・求められる専門知識・経験
・責任範囲
・勤務条件
を職務記述書として明示し、それに対応する給与レンジ(等級制)を設定している。
重要なのは、賃金が「個人の年齢や勤続」ではなく、「職務の価値」にひもづいている点である。


経理・プログラム管理などの管理系職種でも同様に、
業務範囲(財務管理、内部統制、報告責任など)と、それに対応する等級・賃金水準が示されている。
ここでは、同じ職種であっても、
・責任の大きさ
・判断権限
・管理範囲
によって等級と賃金が異なることが明確にされている。


IT職では特に、
・システム設計
・セキュリティ
・データ管理
など職務内容の違いが明確であり、職務記述書と賃金レンジの対応関係が比較的分かりやすい。
これは、ジョブ型雇用が専門性の高い職種ほど導入しやすいことを示唆している。


これらの事例から分かるのは、
ジョブ型雇用とは「職務を細かく定義すればよい制度」ではなく、
職務・責任・時間・賃金を一体として設計する制度だという点である。
同時に、こうした設計は人事制度だけで完結するものではなく、
経営管理や財務管理の判断と不可分であることも見えてくる。

実例情報の収集と提供をAIに求めましたが、結局、このレベルに落ち着かさざるをえませんでした。
以上の事例。
事例とは言っても、ほとんど具体的な内容はわかりませんね。

本小論の研究者のような専門家は、企業の協力を得て、実際の制度例を見ることができているのかどうか。
あるいは、コンサルティング経験を持っているものなのか。
多くの企業は、こうした制度を企業外に進んで公開することはないでしょう。

実は、純粋に職務記述書を書き出せるのは、公認会計士や税理士などの公的資格職や、短時間勤務に適した同一作業・同類作業の反復的な職種・職務に限られてくる。
そういう側面があることも。
そして、よくよく考えれば、それらの職務は、いずれAIかAIロボットに代替されうることも。

本小論シリーズは、人事制度・賃金制度を「生活保障」「職務」「働き方」「合意」という制度論の枠組みで丁寧に整理していることが確認できました。
しかし、一方で、賃金がどのような経営的制約や会計的判断のもとで決定されているのかという視点については、あえて踏み込んでいません。
これは本小論の欠点というよりも、分析射程の違いによるものですが、制度を「実装」する段階では避けて通れない論点でもあります。
以下、この視点での考察を進めてみましょう。

本小論では、賃金制度の理念や構造は詳細に論じられてはいます。
しかし、
・労働分配率
・人件費率
・労務費
・労働生産性
といった経営管理・会計管理システムやそれらの指標との関係については、ほとんど触れられていません。

これは、人事制度・賃金制度研究においてしばしば見られる傾向でもあります。
賃金を「評価の結果」や「制度の帰結」として扱う一方で、企業がどの水準まで賃金を支払えるのか、どのような制約の中で配分されるのかという財務的視点は、分析の外に置かれがちです。

しかし、実際の企業経営において賃金は、理念や制度設計だけで決まるものではなく、
収益構造・原価構造・将来投資とのバランスの中で決定されるものです。

理想論として言えば、企業内のすべてのプロフィットセンター、コストセンターについて、
組織単位ごとの利益・損益管理(経理会計管理)が導入されていることが望ましいでしょう。

現実には、そこまで徹底した管理を行っている企業は多くないでしょう。
ただし実は、大企業よりも小規模企業の方が、こうした管理を導入しやすいことを申し上げておきたいと思います。

組織単位での損益が把握されるようになれば、
・その組織にどのような職務が必要なのか
・各職務がどの程度の付加価値を生み出しているのか
・その職務に支払われている賃金は妥当なのか
といった問いに、一定の根拠をもって向き合うことが可能になります。

これは、ジョブ型雇用における職務価値の算定賃金水準の検証にとって、重要な補助線となり得るでしょう。

こうした経営管理・会計管理の枠組みが整えば、
職務の「必要性」や「貢献度」をめぐる議論は、抽象論から一歩進むことになります。

その結果として期待されるのは、
・労働者自身の経営管理への関心の高まり
・自身の職務が企業全体にどう位置づけられているかへの理解
・評価や賃金に対する納得感の向上
です。
もっとも、職務価値や貢献度が、数字だけで自動的に評価できるわけではないことは明らかです。
定量指標は重要な手がかりにはなりますが、
・業務の質
・将来への影響
・チームや組織への波及効果
など、定性的な要素も斟酌される必要があります。

最終的に重要なのは、評価者と被評価者の間のコミュニケーションです。

経営管理・会計管理の視点を取り入れたとしても、それが一方的な数値管理や序列化に終われば、
かえって制度への不信や分断を生む可能性があるのです。

職務給やジョブ型雇用を機能させるためには、
・なぜその評価になったのか
・どの点が評価され、どこが課題とされたのか
・今後どのような役割や成長が期待されているのか
といった点を、対話を通じて共有するプロセスが不可欠なのです。

この意味で、経営管理・会計管理・財務管理の視点は、
人事制度・賃金制度を「置き換える」ものではなく、
制度を現実に根づかせるための補完的な射程として位置づけるのが適切でしょう。

本小論シリーズが示した制度論の到達点に、
経営管理・会計管理・財務管理の視点をどう接続していくか。
それは、今後の実務と研究の双方に委ねられた課題です。

本小論シリーズは、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用という対比軸を用いて、日本の賃金制度と働き方の構造を分かりやすく整理した点で、高い意義を持つものでした。
一方で、読み進める中で、いくつか立ち止まって考えざるを得ない論点も浮かび上がってきます。

今回の小論シリーズに限らず、過去の2記事でもそうでしたが、ChatGPTもGeminiも、学者・研究者のこうした類の論文には、好意的であり、高い評価をしています。
これは、勝手な憶測ですが、彼ら?の基盤である大規模言語モデルLLMの構成要素として、公開されている論文の比重が大きいからではないかと考えています。
しかし、より良いものを、と望む私及び当サイトとしては、最近増えつつある「准教授」の執筆論考に期待し、着目しています。
すなわち、従来のおさらいどまりの論考ではまったく物足りません。
なにか新しい視点、新しい考察、そして新しい提案、異質な踏み込み、が経験できないか。
そういう点では、本小論に対する評価は、AIに比して、さほど高くなかったですね。

さて本論です。
まず考えなければならないのは、そもそもメンバーシップ型とジョブ型の比較が有効に機能する企業は、どれほど存在するのかという点です。
また、全就労者のうち、どの程度の人々がこの比較の対象になり得るのかという問いも避けて通れません。

実際の労働市場には、正社員・非正規雇用・多様な契約形態が混在しており、職務が明確に切り出せる仕事ばかりではありません。
その意味で、ジョブ型・メンバーシップ型という整理は、すべての働き方を直接説明するものではなく、一定の条件を満たす領域において有効な分析枠組みと捉える必要があるでしょう。

本音を言うと、一般論としてのメンバーシップ型論やジョブ型論については、議論考察は旧来とほぼ同様の域を出ず、新鮮味も、革新性もありません。
その認識で、以下の論考もあることをご理解ください。

次に重要なのは、ジョブ型における賃金は何によって決まるのかという問題です。
制度論としては、職務内容や責任、成果に基づく賃金決定が想定されますが、実務的には、市場価格が最大の決定要因になる場面が少なくないのが現実です。

特に採用局面においては、同業他社や近接職種との比較、さらには採用難易度を踏まえた水準設定が不可欠になります。
ジョブ型の賃金は、企業内部の評価体系だけで完結するものではなく、外部労働市場との連動を前提とした戦略的判断の要素を強く持っていると言えるでしょう。

なお、厳格な職務給制度では、職務内容が変わらない限り簡単に賃金は上がらないことを付け加えておきましょう。
賃金更改は、職務記述書の内容、職務の内容が変わることによって行われます。
その場合、上がることも、下がることもあるのです。
果たして、そういう運用が行われているでしょうか。

ジョブ型人材戦略を採るのであれば、人材の流動化を例外ではなくデフォルトとして捉える視点が不可欠です。
職務が明確化され、市場で比較可能になるほど、転職やヘッドハンティングは自然な選択肢となります。

果たして、自社は、こうした社会的な流動性・変化に適切に、タイムリーに対応できるのか?
非常に難しい課題を抱えているのです。

例えて言うならば、メンバーシップ型制度は、社内の人材流動化を自ら促すとともに、内部で対応するシステムということもできる。
そういう見方を、私はコンサル経験において持っていました。

さらにAI社会の進展を考えれば、どのようなジョブ型職種が将来にわたって存続し得るのかという視点も重要になります。
自動化・代替が進む職務、逆に人間の判断や創造性が求められる職務は何か。
「賃金制度と働き方」を論じる際には、制度論だけでなく、技術進化と職務構造の変化を織り込んだ議論が求められると感じます。

小論で想定されるジョブ型の典型として、製造業の研究開発職が念頭に置かれているケースは少なくないように見受けられます。
確かに、同業種間、あるいは異業種であっても同一職種における転職やヘッドハンティングは現実に存在します。

しかし実際の賃金決定は、職務評価をゼロから積み上げるというよりも、繰り返しになりますが、
前職の賃金水準にどの程度上乗せするかという形、あるいは、市場ではどんな報酬で人材の奪い合い?が行われているのか、といった形で決まる場合が多いのも事実です。
ここには、制度論と実務の間に存在するギャップが表れています。

こうして見てくると、メンバーシップ型・ジョブ型の比較は、賃金制度や働き方を考えるための有効な出発点ではありますが、それだけで現実を説明し切れるわけではありません。
賃金の決定には、市場、採用戦略、経営管理、技術変化、人材流動化といった複数の要因が重なり合っています。

本小論シリーズが示した制度論の到達点を踏まえつつ、
どの領域で、どの程度、どのように適用できるのかを冷静に見極めることが、今後の議論には求められるでしょう。

最後に、原点に立ち戻って、働く人々にとって最も重要で、最も価値があること。
それは、自分の賃金が増える、増やすためには、何をどうすればいいかを、企業や管理者・経営者が、分かるように示してくれること。
そしてその支援をしてくれること。
そのために、メンバーシップ制が、ジョブ制のどこの何が、役に立つのか、わかる制度なのかどうか。
そう考えてみると、「やさしい経済学」でも、こうしたテーマにも取り組んで欲しいものです。

最後になってなんですが。
実は、多くの、特に短時間就労の方々、非正規雇用の方々、そして一部の正規雇用の方々にとって、働き方を決める上で、重要な要素とは?
賃金・給料だけではなく、家から近い・通勤に便利、働きやすい環境・職場、希望する時間や曜日に働きたい、など、他の要素・要因が大きく影響する。
こうした点については、メンバーシップ型もジョブ型も、さほど価値・意味がないことになってしまうのです。
ごくごく限られた人々にとって有用・有効な、ジョブ型・メンバーシップ型論考。
それに終わらせるのにはもったいない論考ではあります。

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1.(やさしい経済学)賃金制度と働き方の変化(1) 「生活を保障する」制度の変容  埼玉大学准教授 禿あや美 – 日本経済新聞 2025/12/19
2. (やさしい経済学)賃金制度と働き方の変化(2) 若者の低賃金は当たり前か  埼玉大学准教授 禿あや美 – 日本経済新聞
2025/12/22
3.(やさしい経済学)賃金制度と働き方の変化(3) ジョブ型が提供する透明性  埼玉大学准教授 禿あや美 – 日本経済新聞  2025/12/23
4.(やさしい経済学)賃金制度と働き方の変化(4) 「管理職罰ゲーム化」の背景  埼玉大学准教授 禿あや美 – 日本経済新聞 2025/12/24
5.(やさしい経済学)賃金制度と働き方の変化(5) 短時間正社員が普及する条件  埼玉大学准教授 禿あや美 – 日本経済新聞 2025/12/25 
6.(やさしい経済学)賃金制度と働き方の変化(6) 「転勤」で考える雇用管理区分  埼玉大学准教授 禿あや美 – 日本経済新聞 2025/12/26
7.(やさしい経済学)賃金制度と働き方の変化(7) 減少傾向にある女性の離職  埼玉大学准教授 禿あや美 – 日本経済新聞 2025/12/29
8.(やさしい経済学)賃金制度と働き方の変化(8) 人事制度全体の再構築が必要 埼玉大学准教授 禿あや美 – 日本経済新聞 2025/12/30