「人材供給なき成長戦略」への警鐘|高市政権の経済対策と日経報道から読み解く供給力の盲点

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インフレ時代の「供給力デザイン」に不可欠な視点とは

高市内閣が掲げる「積極的財政政策」。
インフレ・物価高対策に焦点を当てた、バラマキ的政策となる危険性が指摘されているのは、いつものことです。
インフレや物価高の最大の要因とされる「供給力」問題。
その根本的な対策について、先に以下の記事を投稿しました。
⇒ インフレ時代の「供給力デザイン」|必需供給・産業供給・共通基盤から組み直す日本社会2050 – ONOLOGUE2050 (2025/11/30)

この記事では、人材不足対策は、生産性向上やAI化・ロボット化などとそのための投資にフォーカス。
直接的な「人材供給」については触れていませんでした。
その中での しかし、実際の「人材供給」について、別途、重要な課題とする必要があると考えています。

本稿は、この課題に取り組む記事に入る前に、その前提として、「人材供給」も不可欠な課題であることを認識することを目的としています。
参考とするのは、以下の、高市内閣の経済対策記事とその「積極財政下の景気」と題した3本の日経記事、計4本の記事です。
1) 「大胆な減税」成長投資促す AIなど17分野  複数年度で予算措置 高市政権、初の経済対策 – 日本経済新聞 (2025/11/9)
2) 積極財政下の景気(上)賢い投資へ分野見極めを  供給制約、克服できるか – 日本経済新聞(2025/12/4)
3) 積極財政下の景気(中)人手不足解消なるか  生産性改革、外国人も支え – 日本経済新聞 (2025/12/5)
4) 積極財政下の景気(下)インフレ、痛み和らぐか  家計支援、メリハリ必須 – 日本経済新聞(2025/12/7)

初めに、1章では、4つの記事を要約し、課題を整理。
次に、2章で、「人材供給」について取り上げている記事を重点的に取り上げ、その評価と残る問題点を整理。
3章で、「人材供給」の意味・意義とその必要性、あるべき形・制度などを考えます。

なお、AI時代「人材」問題については、既に、関係するWEBサイト、LIFE STAGE NAVi で以下の4つの記事で触れています。
これらの記事と結びつけて考えて頂くこともお薦めします。
1) 【AI時代の羅針盤】学歴に依存しない「生き方・働き方」へ!個人のキャリア変革と具体的備え – Life Stage Navi (2025/11/7)
2) AI社会のスキリング&リスキリング論|雇用選別の時代をどう生きるか – Life Stage Navi (2025/11/19)
3) AI時代の働き方をどう設計するか|日経「AI時代の働き方」連載と当サイト2記事から読み解くキャリア形成法 – Life Stage Navi  (2025/11/28)
4) エッセンシャルワークの現状とアドバンス化の課題|人材不足の時代にどう支え、どう働くか – Life Stage Navi (2025/12/3)

高市内閣の経済対策を理解する上で、まず注目すべきは「積極財政」と呼ばれる拡張的な財政方針が、何を目的とし、どのような論理で展開されようとしているのかという点です。
日経新聞の4本の記事は、一見すると財政政策全般を論じているようでありながら、その背景には「景気刺激」と「インフレ抑制」という相反する課題を同時に扱う難しさが浮かび上がっています。
本章では、これらの記事を丁寧に読み解きながら、政策の意図・限界・見落とされている論点を整理し、後の議論(人材供給の問題・供給力全体の設計)へとつなげる基盤を整えます。

まず、高市政権の経済対策について、今回取り上げた4本の記事がどのような全体像を描いているのかを整理します。
4本を通して見えてくるのは、
・インフレ・物価高への対応
・トランプ関税など外部ショックへの備え
・AI・半導体など成長分野への「危機管理投資」
・設備投資減税などを通じた企業収益・賃上げの促進
といったテーマに力点を置いた、「供給力強化」を掲げる積極財政の姿です。
一見すると、成長戦略と物価対策を両立させようとする枠組みですが、「人材供給」をどのように位置づけているかは、必ずしも明確ではありません。

「『大胆な減税』成長投資促す AIなど17分野」は、高市政権が初の経済対策で示した成長戦略の看板を紹介しています。
主なポイントは次のように整理できます。
・AI、半導体、量子、バイオ、造船、エネルギー安全保障など17の戦略分野を指定
・「危機管理投資」として官民連携でサプライチェーンを強化
・設備投資促進税制の創設(税額控除、即時償却など)で企業投資を後押し
・複数年度予算で予見可能性を高め、長期投資を誘導
ここで語られる「供給力強化」は、あくまでも「設備・サプライチェーン・資本投資」にフォーカスしており、成長分野の“モノと設備”の供給網を厚くする方向に重点があります。

一方で、「その分野で働く人材をどのように確保し、育成し、配置するのか」という視点は、ほとんど正面から扱われていません。人材は「そこにいるもの」として前提化されている、と言ってよいでしょう。

「積極財政下の景気(上)賢い投資へ分野見極めを」は、日本経済が直面する「供給制約」と、それに対してどのように財政出動を使うべきかを論じています。
要点を整理すると、
・トランプ関税や円安の追い風の中で、一部大企業は業績を伸ばしている
・しかし資材高、人手不足、建設コストの上昇などで投資計画の遅れが顕在化
・日本の潜在成長率はゼロ%台で、供給制約が「成長の天井」になっている
・財政出動は「総花的」ではなく、AIインフラなど重点分野に絞るべき
ここでも、供給制約は主として「資材」「建設能力」「投資コスト」の問題として語られます。
記事中では人手不足にも触れられていますが、主役はあくまで「どの分野に公的資金を投じるか」という投資配分の問題です。人材そのものの供給構造をどう変えるか、という問いには踏み込んでいません。

4本のうち、もっとも「人材供給」に近づいているのが、「積極財政下の景気(中)人手不足解消なるか」です。
ここでは、
・建設現場などで入札不調が続くほど、人手不足が深刻化
・中小企業ほど賃上げ余力が乏しく、人材確保で大企業に負ける
・日本全体として、転職希望者は多いが、実際の転職は伸びていない
・外国人材(特定技能2号など)の活用が始まっているが、裾野はまだ狭い
・女性・高齢者は既に相当程度就業が進み、新たな「量の拡大」は難しい
といった現状を紹介。

その処方箋として
・自動化投資などによる生産性改革
・生産性の高い企業への労働移動(いわゆる「人材シフト」)
・外国人材の活用拡大
を挙げています。

しかし、ここで語られているのは、あくまで「既に存在する労働力を、どのように動かし、どう活用するか」という視点が中心です。
「そもそも日本社会全体で、どれだけの人材を、どの分野に、どのような準備期間を経て供給していくのか」という中長期の人材供給設計には、ほとんど触れていません。

「積極財政下の景気(下)インフレ、痛み和らぐか」は、主に家計側の負担と支援策に焦点を当てています。
・エネルギー料金やガソリン価格の一時的な引き下げ
・子ども1人あたり2万円給付など、広く薄く配る家計支援
・株高・資産価格上昇の一方で、住宅価格高騰による生活負担の増加
・給付付き税額控除の検討など、「的を絞った支援」の必要性
といった論点が並びます。
ここで扱われる「供給力」は、主として「巨額の財政出動がインフレを加速させるリスク」として間接的に登場するだけで、人材供給の観点はほぼ見られません。
生活の痛みを和らげる給付・減税の議論に終始し、供給側、とくに人材の側の構造をどう変えるか、という視点は欠落しています。

以上4本を通して見えてくるのは、
・成長分野への設備投資やサプライチェーン強化
・AI・自動化を中心とする生産性改革
・インフレに対する家計支援と所得補完
といった「モノ・設備・資金」を中心とした供給力・景気対策です。

もちろん、これらは重要な論点です。しかし、
・そもそも、この国で将来どれだけの人が働き手として存在するのか
・どの分野に、どのような技能を持った人を、どのような形で供給するのか
・そのために、教育・訓練・移動・移民政策をどう設計するのか
といった「人材供給」そのものの設計思想は、ほとんど明示されていません。

言い換えると、4本の記事は
「人はそこにいる、という前提のもとで、設備と資金、制度をどう動かすか」
という発想を共有しているように見えます。
人口減少・少子高齢化が進む日本社会において、この前提そのものを問い直すことが不可欠だ、というのが本稿の問題意識です。

高市内閣の経済対策は、一見「景気の底上げ」を狙いながらも、その背後には慢性的な供給力不足という構造問題が横たわっていることが分かります。
日経3本の記事を通じて浮かび上がった最大の課題は、財政支出の規模の議論に偏り、供給側──とりわけ人材・生産性・基盤投資──の視点が十分に扱われていない点でした。
この整理を基に、次章では、4本の記事のうち、比較的人材問題に踏み込んでいる部分を整理。
「それでもなお足りない視点」がどこにあるのかを改めて確認し、より核心的なテーマである「人材供給の問題」を掘り下げます。

積極財政の効果は、財政の拡大そのものではなく、そこに投入される資源──特に「人材」という供給要素──の確保が伴って初めて実体経済に波及します。
しかし現実には、深刻な人手不足が広範な産業で続き、経済対策の恩恵を十分に吸収できない状況が生じています。
日経の4本の記事のうち、人材供給を扱う論考には、日本経済が直面する構造的な制約が端的に表れています。
本章では、それらの記事で指摘された論点を整理しつつ、評価すべき点・不足している視点の両方を明確にし、次章で考えるべき本質的な「供給力デザイン」の議論へとつなげます。

前章で見たように、4本の記事はいずれも「供給力」や「積極財政」「物価高」といったキーワードを扱いながら、直接的に「人材供給」を主題にはしていません。

そこには、大きく次のような暗黙の前提があるように感じます。
・労働力は“与えられた条件”であり、政策の対象は主に資本や税制である
・人手不足は「賃金」「生産性」「設備投資」で解決すべき経営課題である
・人材は「市場の自律的な調整」に委ねる部分が大きい

この前提に立つ限り、
・どの世代から、どの地域から、どういう経路で労働力を供給するか
・家庭・教育・地域社会と労働市場をどうつなぎ直すか
・日本社会として、どの程度の移民・外国人材を受け入れるのか
といった論点は、政策議論の外縁に押し出されてしまいます。

本稿が「人材供給」をあえて独立したテーマとして取り上げたい理由は、まさにこの暗黙の前提を一度ほどき、人口構造と労働力の将来像から逆算して「供給力」を考え直す必要があると考えるからです。

4本の中で、もっとも人材に踏み込んでいるのは「積極財政下の景気(中)」です。
ここでは、
・中小企業で賃金が上がらず、人材確保に苦しむ現状
・転職希望者は多いのに、実際の転職は伸びていないミスマッチ
・外国人材(特定技能など)の店長登用など、活用事例が出始めている
・女性・高齢者の就業拡大はある程度進み、新たな余地は限られている
といった点が具体的な事例とともに示されています。

このように、記事は「多様な人材の活用」や「労働移動の促進」の必要性を指摘していますが、それでもなお、以下のような点は深掘りされていません。
・外国人材をどの規模で、どの産業で受け入れるのかという中長期設計
・そのための住宅、教育、地域社会との共生といった“受け皿設計”
・女性・高齢者が無理なく働き続けられるためのケア・家事支援との連携
・転職や学び直しを支える所得補償や教育支援制度の整備

この記事は「人材供給」に一歩近づいてはいるものの、「供給力の一部」としての人材をどう構想し直すのか、という視点にはまだ届いていない、と見ることができます。
なお、高市政権では、外国人の「日本国籍」取得条件を厳しくすることが検討課題に上っています。
これも間接的ですが、外国人材と関連した課題とも言えます。

今回の4本の記事に限らず、日本の経済政策議論では、「人材供給」について次のような論点が十分に扱われていないと感じています。
・人口構造そのもの(出生率、移民、寿命)と供給力との関係
・エッセンシャルワークと高度スキル職のバランスをどう設計するか
・地方から都市への人材移動、あるいは逆方向の移住支援のあり方
・介護・子育て・教育と就労の両立を支えるインフラ整備
・学び直し(リスキリング)期間の生活保障や所得補填の仕組み

これらは、単に「労働市場のマッチング」の問題ではなく、日本社会全体で「どこに、どのような人材を、どのくらい供給するのか」という、長期的な社会設計の問題です。

先に LIFE STAGE NAVI で取り上げた、
・AI時代の働き方
・スキリング&リスキリング
・エッセンシャルワークのアドバンス化
といったテーマは、まさにこの「人材供給」を個人のキャリアと結びつけて考える課題でもありました。
本稿では、これらの議論を「供給力デザイン」と統合するための“橋渡し”として、「人材供給」を供給力問題の中心軸の一つに据え直したいと考えています。

日本はこれから本格的な人口減少社会に入ります。
・団塊ジュニア世代の高齢化
・若年人口の絶対的な減少
・エッセンシャルワークにおける人手不足の慢性化
・都市部と地方の人口偏在
といった変化を前提にすると、「人さえいれば回る」前提での経済政策は、もはや成り立ちません。

人材供給に関する日経記事を整理すると、各産業で人手不足が共通課題となっているにもかかわらず、施策は「即効性のある対症療法」に偏り、長期の基盤づくりには踏み込みきれていないことが分かります。
特に、教育・スキリング・移民・リスキリングといった本質的な人材戦略は十分に議論されていませんでした。

インフレ時代の「供給力デザイン」を論じるうえで、
・モノや設備だけでなく、「人」の量と質の供給をどう確保するのか
・その過程で、個人の生活設計・キャリア設計をどう支えるのか
という視点を明示的に組み込むことが必要です。

これらの不足点を踏まえ、次章では「供給力」という概念の中で「人材供給」をどう位置づけ、日本社会の構造にどう組み込むべきか、その意義と目的を整理していきます。

「供給力」という言葉は一般的な政策議論では頻繁に登場しませんが、物価・賃金・成長力といった経済の基礎を支える極めて重要な概念です。
その中でも人「材供給」は、あらゆる供給活動の出発点であり、労働力としての量的な側面に加え、質・配置・教育制度との連動といった構造的な要素を含んでいます。
本章では、供給力の三つの領域(生活必需、産業供給、共通基盤)と結びつけながら、「人材供給」がどのように日本社会の安定性と持続的発展を左右するのかを整理し、次に進むべき政策方向と制度の再設計を考えます。

まず、「人材供給」という言葉で何を指すのかを整理しておきます。
ここでは、人材供給を次の4つの側面から捉えます。
① 量の側面
 ・働き手として参加できる人の数(労働力人口)
 ・性別・年齢・国籍などを含めた層の広がり
② 質の側面
 ・スキルや経験、資格、専門性
 ・AI時代に必要とされるリテラシーや思考力
③ マッチングの側面
 ・地域(どこに住んでいるか)
 ・産業・職種(どんな仕事に就くか)
 ・時間(フルタイムか、短時間か、副業か)
④ 時間軸の側面
 ・短期的な「今足りない人手」をどう補うか
 ・中長期的にどの分野に人材を増やしていくか

「人材供給」は、この4つの側面の組み合わせとして初めて意味を持ちます。
単に「人手不足だから外国人材を増やす」といった発想ではなく、日本社会全体の供給力をどう維持・強化するのかという視点から設計し直す必要があります。

前稿「インフレ時代の『供給力デザイン』」では、供給力を
・必需供給領域(生活必需品・食料・資源エネルギー)
・産業供給領域(製品・サービス・付加価値産業)
・共通課題領域(技術・生産性・投資などの横断基盤)
という3つの領域で整理しました。

人材供給は、実際にはこの3つすべてに関わります。
・必需供給領域では
 医療・介護・福祉、物流、インフラ保守など、生活の基盤を支えるエッセンシャルワーカーの確保がまさに必需的です。
・産業供給領域では
 製造業・サービス業・デジタル産業など、それぞれに必要な専門人材をどのように育成・確保するかが、産業の成長力・競争力を左右します。
・共通課題領域では
 技術革新や設備投資を活かすための人材、AIを使いこなす人材、長期投資を判断できる人材が不可欠です。

言い換えると、「人材供給」は
・一つの独立した政策領域であると同時に、
・供給力デザイン全体を貫く“共通の基盤”
でもあります。
ここを明確に位置づけ・認識しない限り、「設備と資本だけが整い、人がいない」というミスマッチが繰り返されることになります。

インフレが続くなかで、給付付き税額控除や給付金、ベーシックインカムのような所得補完策が注目されています。
これらは、生活の下支えという意味で非常に重要です。
一方で、長期的な視点に立てば、
・安心して働ける仕事があること
・必要な時期に、必要なスキルを学び直せること
・家族や地域の状況に合わせて柔軟に働き方を選べること
といった「働く側のインフラ」も同じくらい重要です。

「人材供給」の目的を簡潔に言えば、
「インフレや構造変化の時代においても、人が自分の生活設計を描き直しやすい社会をつくること」
だと考えています。

そのためには、
・エッセンシャルワークの待遇改善と“アドバンスト化”
・スキリング・リスキリングと所得補償の組み合わせ
・地域間・産業間の人の移動を支える住宅・教育・ケアのインフラ
・外国人材を含む多様な人々との共生のルールづくり
といったテーマを、「供給力」の一部として正面から扱っていく必要があります。

本稿の役割は、
・現在の経済記事や政策議論の中で「人材供給」がどのように扱われているかを確認すること
・インフレ時代の供給力デザインの中で、「人材供給」をどこに、どのように位置づけるべきかを整理すること
でした。

具体的な制度設計については、今後の別稿で取り上げたいと考えています。
例えば、
・エッセンシャルワーカーを支える新しい「准公務員的」な枠組み
・学び直し期間の所得補償とキャリア移行のための制度
・外国人材の受け入れと地域社会の受け皿整備
・AI時代のスキル標準と、日本独自のリスキリングモデル
などは、その一部は、すでに LIFE STAGE NAVI で取りあげていますし、今後も取り上げていくべきテーマです。

「人材供給」を、単なる労働市場の調整問題ではなく、日本社会の中長期の供給力デザインの中核として捉え直すこと。
この視点を持つことで、積極財政・成長戦略・インフレ対策を、今よりも一段踏み込んだかたちで議論できるのではないかと思います。

供給力の観点から見たとき、人材は「単なる労働力」ではなく、日本社会の持続性を決定づける基盤資源であることが明らかになります。
既存の経済対策や財政政策が十分に扱えていない「教育・スキル形成・社会移動・産業配置」という要素を、明確にデザインし直す必要があります。
人材供給の強化は単独で完結する施策ではなく、社会保障、教育、産業政策、地域政策のすべてに横断して取り組むべき課題である。この認識こそが、本稿全体の核心であり、次に論じるべき政策設計の前提になります。

本記事では、高市内閣の経済対策および日経3論考を素材に、
①財政政策の特徴、②人材供給の課題、③供給力デザインにおける人材の位置づけ
の3つの角度から検討を行いました。

とりわけ重要なのは次の点です。
・財政による「需要側」からの刺激では、長期的な物価高や成長停滞は解消できない。
・日本経済のボトルネックは、AI・ロボット化の遅れだけでなく、人材供給そのものの量・質の不一致にある。
・人材不足は単なる労働力の欠乏ではなく、産業構造、教育制度、地域経済のすべてにまたがる“供給力全体の課題”である。

そして何よりも、人材供給の問題は 「人口減少だから仕方ない」では済まされない政策領域 であること。
日本が再び持続的成長を取り戻すためには、産業構造×教育×キャリア形成 を循環させる、抜本的な再設計が必要になります。

本記事で扱った「人材供給」の問題は、次の記事で取り上げるテーマ「AI時代の『逆転キャリア』と供給力デザインの再構築」につながっています。
その記事は、今米国の労働市場で起きている、AI時代における「ホワイトカラーからブルーカラーへの転職」事情レポートをきっかけにしてのもの。
教育制度改革に踏み込みます。
ぜひ本稿と併せて、ご覧頂ければと思います。

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